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■ Profile ■
柳谷杞一郎(やなぎたにきいちろう) 写真の学校/東京写真学園主宰。 1957年広島県生まれ。広告・出版物の制作ディレクターを経て、88年エスクァイア日本版の月刊化に際し、編集者として参加。90年副編集長。91年にカメラマンに転身。“大人の感性”と“少年の温もり”の混在する写真家として注目を集める。写真集に『Rapa Nui』『X』、著書に「写真でわかる<謎への旅>」シリーズの『イースター島』『マチュピチュ』などがある
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「写真の学校」の教科書 はじめて一眼レフを手にする初心者からプロカメラマン目指す上級者まで、写真が大好きな人が通っている写真の学校がつくった「写真の教科書」。作例の写真が豊富に掲載されていて、写真を本気ではじめる人にはうってつけの1冊 雷鳥社/1‚575円(税込み)
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東京看板娘(ガール) 東京都内、東京近郊で商売を営む「看板娘」にスポットをあてた写真集。一口に「看板娘」といっても、家の手伝い、老舗の後継ぎ、自分でお店を構えたオーナー……と様々。本書片手に掲載店を周り、「看板娘」を訪ねるのもひとつの楽しみ方。全店舗リスト掲載。 雷鳥社/2‚940円(税込み)
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rule10 光を使いこなす
注意深く、光を観察する。 木漏れ日や強い反射など 光の織りなす美しさを見つけたら そこが撮影のポイントだ。
被写体に対して撮影者の背中側からまっすぐに光のあたっている状態が順光である。被写体をまんべんなく光が照らしているので安定感があるともいえるが、まったく影ができず立体感のない写真となってしまう。観光地での記念写真には向いているかもしれないが、写真でなにかを表現しようとするなら、平板な光では面白くないと考えた方がいいかもしれない。順光が一番という常識を捨てたところから、あなたの写真は新しい展開をみせてくれるはずだ。
風景カメラマンは早朝と夕方が勝負時である。太陽が低い位置にあった方が、やわらかで魅力的な光と影をつくってくれやすいからだ。キラキラした光の中、ふわふわした光の中、透きとおるような光の中で写真を撮ることが成功をもたらす。お昼になって、被写体の真上から光が射し始めると、理想的な光の状態に出会うことが難しくなってくる。被写体の質感や立体感を出すのは、真上からの光や正面からの光ではなく斜めから、あるいは横からの光だからである。
-Kiichiro’s Voice-
プロカメラマンは、どうも撮影スタジオで大型ストロボをバシバシ発光させているという印象が強いけれど、別にスタジオでの撮影がレベルが高いからという理由で、そうしているわけではない。
ほとんどのカメラマンは、ストロボの光でつくった人工光よりも、自然光の方が好きなはずだ。でも、自然というヤツは、どんな天才カメラマンであったとしても思いどおりに操ることができるわけではない。3時間しか撮影時間のないタレントさんの撮影を外ロケ(屋外撮影)でやろうとして、雨に降られたらおしまいである。晴れたらこのロケーション、曇ったらこのロケーション、雨だったらこのロケーションと三段がまえでロケハン(ロケ地を事前に選んでおくこと)をしておけばいいのかもしれないが、そんな都合のいい場所はそうそうあるものじゃない。どうしても安全、確実なスタジオ撮影を選ぶことが多くなるわけだ。なにしろ、スタジオにはライティング機材がいっぱい。自分の思いどおりの光をつくり出すことが可能なのだ。
でも、本当は自然の美しさにはかなわない、というのも事実。スタジオでのカメラマンの仕事がライティングを決めることだとしたら、外で撮影する時のカメラマンの一番の仕事は光の織りなす美しさの発見なのである。
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花写真〜上手になるための18のルール〜/監修・写真の学校/東京写真学園 写真を上手に撮るために心掛けるべきことは、たった18のルール。まだカメラを持っていない人から中級者まで、読んで楽しい一眼レフカメラ入門の書。 雷鳥社(2002/03)/1‚155円(税込み)
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