2004.10.06 　vol. 15

声優になりたい人、業界に興味のある人のためのメールマガジンです。 声優のインタビューと声優に必要なトレーニングや知識をレッスンします。

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こんにちは。 雷鳥社「声優になる！マガジン」エディターのオオネダです。 「声優さんになりた〜い！」と思っている人たちや、「アニメが大好き☆」という人たちに役立つ情報が満載のメルマガです。 2週にわたり折笠愛さんのインタビューをお届けしています。今週も、折笠さんの魅力をたっぷりお送りします。

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演じることが楽しくて仕方ない。声優・折笠愛インタビューVol.3 先週・先々週と声優・折笠愛さんにお話をうかがっていますが、第2回目では、年間300ものステージにあがってきた「子ども劇場」時代のお話、また演じることへの情熱を語っていただいた。 第3回目では、折笠さんの多才な才能、また声優業界に入ってからの心の変化についてうかがった。 ■ Profile ■ 折笠愛（おりかさあい） 12月12日生まれ。東京都出身。ぷろだくしょんバオバブ所属。劇団「文芸座」に所属後、劇団「創演」を旗揚げし、退団後はフリーで活躍。1988年、フジテレビ系の世界名作劇場『小公子セディ』セディ役で声優デビュー。以後、『ロミオの青い空』ロミオ、『天地無用！』シリーズの魎呼（りょうこ）、『サクラ大戦』藤枝あやめ・かえで役など、様々な話題作品に出演。アニメに留まらず、海外ドラマの吹き替えからゲームまで幅広くこなし、歌手として、女優としても活動している。 公式サイト

折笠愛ミニアルバム＋DVD「mono-gatari」 2004年10月15日発売。アコースティック・サウンドのやさしい調べにのせ、あのピュアな歌声が6つのドラマとセッション。イメージ映像DVD（特典映像付き）との2枚組セットでお楽しみも倍増 アスワン・エンタテインメント/3‚600円（税込み） 劇団岸野組公演「〜森の石松外伝〜妖刀奇譚（ようとうきたん）・総司と石松」に出演決定!! 2004年11月7日（日）〜14日（日）下北沢本多劇場 詳細はこちら

挫折しそうなとき、乗り越えられるのは過去の経験があるから ―――　「子ども劇場」で全国をまわる公演生活の中で、客演でありながらもメインキャストを演じられていたようですが、それを支えた演技力は何だったのでしょうか？ 今思うと、短大でやった基礎的なことは本当に役立ちました。「伊豆の踊り子」のときも日舞をやっていなければ出来なかったと思います。私はどちらかというと短期集中型なのですね。「伊豆の踊り子」のときも三味線を弾く役で、すごい勢いで一曲仕上げました。今考えると学校の入試なども2ヶ月ぐらい前から始めて一気に勉強して合格しましたし、何かのときに役立つと思って取った簿記の資格も、すごい短期集中で勉強して1級に合格しました。でも今はもう簿記は全然出来ませんけど。ですから、私みたいなやり方は皆さんにはお勧めしません。やはり一夜漬けで身につけたものはすっと出ていってしまいますから（笑）。 ―――　折笠さんって本当に多才な方ですね。 役者は視野を広くもっていろんなことを経験しておくのは大切なことだと思います。その中で例えば一つだけでも掘り下げて勉強しておくと武器になりますよね。武器という意味でいうと、地方出身者はとても羨ましいと思います。その土地の方言が使えますよね。私は東京生まれの千葉育ちなので、方言らしい方言はないんです。もし私が九州弁とか使えたら武器になりますよね。地方の人は上京してきて標準語を身につけるのにとても苦労していますが、標準語をしっかり身につけた上で方言を話せるというのは強い武器だと思いますよ。 何でもそうだと思いますが、継続するってたいへんですよね。挫折しそうになることは必ずありますから。壁は必ず来ます。そこを乗り越えるのは、自分しかないのかな。自分で一つ一つ乗り越えてきた自信や確証が、飛べなかったハードルを飛ばしてくれる。そしてまた壁にぶち当たり、また乗り越えるために四苦八苦しながら頑張る……その繰り返しですね。 声優の仕事で知った、プロの厳しさ ―――　声優のお仕事をされてから変化はありましたか？ この業界に入って最初に感じたのは、「私はなんて下手なんだろう！」でした。それまで自分は、舞台をやっていたんだから声優のお仕事なんて簡単、すぐできるなんて高をくくっていたんです。私は結構上手くできるんじゃないかって。 私の声優としてのデビュー作は『小公子セディ』のセディ役だったのですが、オンエアを見て、あまりの自分の下手さに愕然としました。他の声優さんはとても上手いわけですよ。とても自然に演じているわけです。その中で私一人が飛びぬけて下手に感じたんです。そこから声優としての格闘が始まりましたね。 下手な自分がはずかしくて、すぐにでも声優を辞めてしまいたいくらいでした。 声優の仕事は、舞台とは違う演技の技術が必要なのですが、それがなかなかできませんでした。でもプロとして引き受けた以上（その番組は１年契約だったのですが）、1年は辞められない。意地でもなんとかしなければいけないと思いました。このまま負けたままで辞めるわけにはいかないと思いましたね。悔しくて何度もオンエアを見て泣いたりしました。そこで、舞台で演じることとの違いと、お金をいただくことの厳しさを改めて感じました。 声優のお仕事では歌を歌うという仕事もあります。学生時代コーラス部にいた私は、少々自信を持っていたのですが、これも見事に打ちくだかれました。レコーディングをして自分の歌を聞いたらあまり上手くなかった（笑）。でもプロとしてお金をもらっている以上なんとかしなくてはいけないわけで、そうしているうちに演じることも歌うこともあんなに大好きだったはずなのに、プレッシャーでだんだん楽しくなくなってきてしまったんです。これがプロの厳しさかなと感じました。 声優としての表現方法やその糸口を一つ一つ自分なりに研究してきて、ようやく明かりが見えてきたのはここ最近だと思います。私は声優としてデビューしてから15、6年になるのですが、また演じることが楽しくなってきたのはここ最近ですねー。最初の2、3年はプレッシャーだけでした。 ―――　デビュー作はオーディションだったのですか？ はい。事務所に入ったのと同時でした。私は舞台でも少年役をやることがありましたので、声優としてもできるのではないかということで。そのとき最後までオーディションに残っていたのが私を含めて3人で、あとのお二人は、高山みなみさんと林原めぐみさんでした。お二人はすでに声優としてのお仕事を始められていました。私は当然初めてで、選んでいただけたのはそんな私の新鮮さを買ってくださったんだと思います。 本当にそれからは山あり谷ありでした。「今日の私の芝居はなんて最高!!」って思うときもあるんですよ（笑）。でも、案外そういうときってオンエアを見るとたいしたことないことが多いんですけどね（笑）。 次号（10/13配信）に続く

	声優ってどんな仕事？　どうしたらなれるの？　なるにはどんなトレーニングが必要なの？　そんな疑問にお応えするべく、毎回少しずつですが声優になるために必要な知識やトレーニング方法を紹介していきます。東京・荻窪にある声優・俳優養成所「松濤アクターズギムナジウム」の監修・協力により刊行されている『はじめての声優トレーニング』『声優になるための練習問題』（雷鳥社）という本をもとに、声優の世界をひもといていきます。
東京・荻窪にある声優・俳優養成所 松濤アクターズギムナジウム 基礎から始める声優トレーニングブック 雷鳥社/1‚575円（税込み） 基礎から始める殺陣・アクション入門 雷鳥社/1‚575円（税込み）	ざ行の練習 「ざ」行の子音は、舌先を上の歯ぐきの裏につけて、ふさいだ気道（息の通り道）を、吐く息で押し破って破裂音をつくります。さらに、その隙間から息を通してつくり出す音で「破擦音（はさつおん）」といいます。「さ」行の場合は舌先が歯ぐきの裏側に接触しませんが、「ざ」行の場合は接触します。「じ」の音は「ズィ」とならないように気をつけましょう。 次の単語を発音しましょう。 ざる／雑誌／ざわつく／座談会／ざっくばらん／事務／自由／ジンクス／受動的／実物大／図画／頭脳／随筆／ずばぬける／図々しい／ゼロ／全部／贅沢／ゼミナール／絶体絶命／象／ゾーン／続々／存じる／ぞっとする 次週は、「た」行に挑戦します。	はじめての声優トレーニング〜声のテクニック編（CD付） 「耳で聞いて学ぶ」ことの大切さに注目し、ひとりでもより効果的に学べるようになった画期的な1冊 雷鳥社/1‚890円（税込み） 声優になるための練習問題100 声優に「なりたい」を「なる」に変えるための入門書 雷鳥社/1‚470円（税込み）

	編 集 後 記
	プロの声優さんとお話させていただいていつも感じることがあります。演じたいというとても強い思い、演じることが本当に好きなのだなということです。その思いをかなえるためにはどんな苦労も厭わないという強さ。折笠さんもとても上品な素敵な女性でしたが、その部分だけは変わらない印象を受けました。（Hashimoto Takahiro）
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