声優になる!マガジン
2005.02.16  vol. 31
声優になりたい人、業界に興味のある人のためのメールマガジンです。
声優のインタビューと声優に必要なトレーニングや知識をレッスンします。
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こんにちは。
雷鳥社「声優になる!マガジン」エディターのイタガキです。
「声優さんになりた〜い!」と思っている人たちや、「アニメが大好き☆」という人たちに役立つ情報が満載のメルマガです。
今週も『逮捕しちゃうぞ』小早川美幸、『藍より青し』神楽崎雅など数々の作品でご活躍されている平松さんのインタビューをお届けします。第2週目の今回は、養成所時代のお話です。では、お楽しみに!!
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私が声優になったワケ
演じることが心の底から楽しい。声優・平松晶子インタビューVol.2
『逮捕しちゃうぞ』小早川美幸、『美少女戦士セーラームーンR』カラベラス、『烈火の炎』風子役などで活躍している平松晶子さん。「私が声優になった理由」第1回目では、スポーツ一直線だった学生時代、声優という職業知るきっかけなどのお話をうかがいました。
養成所のオーディションに見事合格した平松さん。第2回目は、この養成所時代のお話が中心です。
■ Profile ■
平松晶子(ひらまつあきこ)
8月31日生まれ。東京都出身。賢プロダクション所属。東京アニメーション養成所を経てデビュー。主な出演作は『逮捕しちゃうぞ』(小早川美幸)、『藍より青し』(神楽崎雅)、『ケロロ軍曹』(日向秋)、『ジンキエクステンド』(シバ)、『パルムの樹』(パルム)、『.hack//SIGN』(BT)、『あずまんが大王』(谷崎ゆかり)、『スラムダンク』(赤木晴子)、『みかん絵日記』(草凪吐夢)ほか多数。様々な話題作品にて活躍中。






“演じること”の楽しさに夢中!!
――― 養成所に通うことになったのは、いつごろですか?

その養成所に入学したのは高校2年生のときでした。
当時は制服を着た高校生が学んでいることが珍しかったので、「Dr.スランプ」の現場に見学に連れて行ってもらったときなどは、スタジオになぜ制服を着た子供がいるのかと不思議な顔をされたこともありましたよ。もちろん高校には内緒でした。

私の通った養成所は、最初の1年間は週1回日曜日だけで、その後週3回夕方からという授業形態になりました。高校は芸能学校ではなく普通の高校でしたから色々と言い訳を考えては早退したりしていましたね。特に卒業公演時期などはちょうど母が入院していたせいもあり、都合よく母の入院を利用させてもらいました。ほんとはすでに退院していたのですけど(笑)。

――― 養成所でレッスンを始めたときの感想はいかがでしたか?

爆発的に面白かったです。知識が全くゼロの状態だったので、すごく新鮮。かなりのめりこんでしまいましたね。

嫌な言い方をされて怒ったり、凹んだりもありましたが、それはその瞬間その瞬間のこと。自分で頑張った結果、先生に認めてもらえたりと、嫌なこと以上に楽しいことがたくさんありましたから。ただ楽しい単純に面白いだけでなく、とても充実していましたね。私は声優やその業界に憧れが強くない分、期待がなかったんでしょうね。演技って面白いなということがシンプルに楽しんでいました。

――― レッスンはどうでしたか?

やっぱり演技が一番面白かったですね。
最初に入った週1回の日曜のクラスは、多分“振るい落とし”の期間だったのではないかと思っています。1クラスも40人ぐらいいましたから、時間は2時間ほどでしたからやれる人とやれない人が出てきます。やりたい人は挙手しなければできないということで、人が徐々に減ってきたり…、自分から挙手をしなければすることができないということの意味が1年過ぎる頃に気づき考えさせられるんです。声優になること、演技を人前でするということの心構えみたいなものを培い考えさせられたのだと思います。その上でそれでもやりますか?ということを提示されたんですね。家庭の事情で来れなくなったり、親がどうしても声優という不安定な仕事を認めてくれない方いたりして、1年後には極端に人が減りました。

2年目は週3日のレッスンになったのですが、朗読のレッスンと体操のレッスンが演技のほかに追加されました。時間は夜の時間帯。やはり働いている人が多かったからだと思います。帰宅時間も午後11時過ぎなどでしたから遅かったですね。制服で帰る途中に1回怖いお兄さんたちに囲まれてカツアゲにあったこともありますよ(笑)。ほんとに怖かったです。

――― レッスンではダンスではなく体操なのですか?

ええ(笑)。ジャズダンスとかにしてくれたらもう少し楽しめたと思うのですが。動きながら発声するんですよ。あ・え・い・う・え・お・あ・おというのを言いながら、今思うと笑ってしまいそうな体操をしていました。当時は一生懸命していましたけど、正直ちょっと不思議なレッスンでした。他に体育では教わったことのない側筋というものを鍛えたり、意外な発見があったのは、楽しかったですね。

――― 苦手だったレッスンはありましたか?

朗読です。当時の朗読のレッスンというのは、一人一人がみんなの前で読んで、それを全員で批評するんです。そうすると誰かが言ったことをまた繰り返す訳にもいかないので、だんだんアラ探しになってしまうんですよ。ですから読んだ後にみんなから批評されるときは、まるで串刺しにされるような感覚でした。だから終わった後にはぐったり。もちろん悪意ではなく「聞くことも」大切だよ、を学ぶことだったと思うのですが、レッスンを褒めるより、悪い点だけを拾って言うようになってしまって精神的に辛かったです。

やはり皆が凹む授業だったようで、回数を重ねるたびに出席者が減ってしまい、ひどいときは3人しか生徒がいなくて、先生も何となく機嫌が悪そうでした。わざわざ休んでいる人に電話して出席させようとしたこともありましたよ。「元気ならレッスンに出てきてよ」って(笑)。

――― 他にはどのようなレッスンが印象に残っていますか?

声優の養成所といっても今のようにアフレコレッスンは1回もなかったで、演技のレッスンが一番印象に残ってます。私の通っていた養成所は声優の養成所というより、演技の養成所みたいでしたから。卒業公演で舞台をやったのですが、舞台演劇に目覚めたのはそれがきっかけでしたね。
夢を一緒に共有できる仲間とのうれしい出会いも
――― 養成所では、年齢の違う人たちが多かったようですが、なじめましたか?

養成所に通うまでは年上というのは学校の先輩ぐらいなものでしたから、部活の先輩と友達っていう感覚はありえないですよね。私自身運動部に所属していましたから、例え1つしか歳が違わなくても年功序列の縦社会が当たり前な環境。最初は年上って怖いって思っていたところがありましたね。

養成所に通っていた人たちは、就職していて働きながら通っている人たちがほとんどだったのですが、私は会社の後輩ではありませんし、普通に接してくれているように感じました。私と仲の良かった人たちは皆10歳ぐらい年が上だったのですが、すごくかわいがってもらいました。なにか失敗をしたとしても、まだ10歳も下の高校生だからなので大目に見てもらえましたし、一番年下だったことでずいぶんと得をしていたのだと思います。

周りがライバルという意識も希薄でしたから、とても楽しんで勉強させてもらっていましたね。ですから年齢関係なく仲間同士・人間同士として養成所の人たちとお付き合いするのが楽しかったですよ。ですから、それと比べてなんて高校はつまらないんだろうと思ったりもしました。学校って何するところなんだろうって、学校の在り方を考えたりしましたね。こんなところでこんなことをしている場合じゃない!!私はもっと演技の勉強がしたいって思っていました。

私は大学進学はしない。とはっきり自分の進路選択をしてしまったので、余計に学校での授業が無駄に感じたのだと思います。だんだん学校の友達といるより、養成所の仲間といるほうが楽しいと感じるようになりました。


――― イメージでは、養成所内では、ライバル心メラメラの激しい競争という感じですが、そうではなかったのですね。

歳が離れていたせいもあると思いますが、私はそんなに感じていませんでした。養成所で一緒だった人たちが正直どのような目で私を見ていたかは本心はわかりませんが、上手な人ほど認めてくれたように思います。私にとって刺激や勉強になる人は、本当に私のことを応援してくれました。私のニックネームは“ブルマちゃん”(笑)だったのですが、「ブルマちゃんなら、絶対なれるからへこたれないで頑張りな!」って本気で応援してくれたり励ましたりしてくれましたよ。
プロダクションへの所属も決まって…
――― 養成所卒業後はどのようにされたのですか?

ちょうど卒業公演も済んで、どうしようかと考えているころに養成所の先生が賢プロダクションを紹介して下さいました。先生から目をかけていただいて、プロダクションに紹介していただいたのは、ほんとにラッキーだったんです。高校の問題もありましたから、当然高校に通いながら仕事をするのは無理だったので高校卒業するまでの間は預かりという形で賢プロダクションに通っていましたね。

そしてもう一つ、卒業公演で舞台に強く惹かれたのであまり大きくないのですが、その時の仲間で劇団を作ったりもしました。

ただあまりにも舞台が楽しくて。ちょうどその頃高校も卒業して賢プロダクションに正式に所属が決まったのですが、事務所に舞台のためにNGを伝えたりしてしまったこともあります。案の定事務所の方には「平松さん、声優の仕事したいんですよね?」と突っ込まれてしまいましたが(笑)。でもそのくらい当時は舞台が楽しくて仕方なかったんです。

――― ちなみに、自分より上手いな、魅力的だなと思う人は養成所でもいらっしゃったと思いますが、その中で自分が選ばれ、プロダクションを紹介してもらったのは何故だと思われますか?

自分では正直わかりませんね。明らかに言えるのは若かったから?(笑)。ただ今にして思うと、私の声がアニメに向いていると思われていたかもしれません。私自身は自分の声がアニメ声とは思っていないのですが、最近趣味でダイビングを始めるようになって普通の方と話すようになったら、その方達に声の出方が違いますねと指摘されたことはあります。

演技プラス声優さんに求められる要素として声の質があると思うのですが…。今考えると、それが先生からみて私の声質がアニメに向いていると判断して、賢プロダクションさんを紹介してくださったのかもしれません。

次号(2/23配信)へ続く

演技


声優になるための練習問題
声優ってどんな仕事? どうしたらなれるの? なるにはどんなトレーニングが必要なの? そんな疑問にお応えするべく、毎回少しずつですが声優になるために必要な知識やトレーニング方法を紹介していきます。東京・荻窪にある声優・俳優養成所「松濤アクターズギムナジウム」の監修・協力により刊行されている『はじめての声優トレーニング』『声優になるための練習問題』(雷鳥社)という本をもとに、声優の世界をひもといていきます。

東京・荻窪にある声優・俳優養成所 松濤アクターズギムナジウム




基礎から始める声優トレーニングブック
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今回は間(ま)の取り方に挑戦!
間の取り方で同じセリフでもいろいろな表現ができます。

間の取り方を意識して読んでみましょう。

【1】
まったく、お前は相変わらずなのね、サリー
まったくお前は、相変わらずなのねサリー
まったくお前は相変わらずなのね、サリー

【2】
では皆さん、どうぞ食事にいたしましょう
では皆さんどうぞ、食事にいたしましょう
では、皆さんどうぞ食事にいたしましょう

【3】
おやおや、これはいったいどうしたことだ
おやおや、これはいったい、どうしたことだ
おやおやこれは、いったいどうしたことだ

[解説]
間をいれるのは、「前後の意味が切れている」「強調したい言葉がある」「次に話す言葉を選んでいる」「話をしているうちに、気持ちが変化する」など、その効果は多種多様です。【1】を例に見てみましょう。1番目のセリフは「まったく」の後に間をいれることによって、呆れている気持ちを表しています。2番目は「お前は」の後に間を入れ、ほかの誰でもなくサリーに言っていることを強調しています。3番目は「サリー」の前に入れ、サリーに言い聞かせようとしています。無言の空白は場合によって、言葉では言い表せない微妙なニュアンスまで伝えることができますが、長すぎても短すぎてもダメ。効果をあげるにはちょうどいい長さでなくてはいけません。 

間はベテランの声優さんでも難しいものだそうです。練習あるのみ!思い通りの効果をあげられるよう間の取り方にも励んでくださいね!
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編 集 後 記
この世界でよく聞く話ですが、周りを蹴落としてでも目標に向かって〜ということを意識しながら学ばれている方がいます。ですが、私の知る限りそういう意識のプロの方にほとんどお会いしたことがありません。ライバル心と蹴落とす意識はイコールではないようです。相手を意識するよりしっかりと自分を固める。遠回りに見えますが、一番の近道なのかもしれません。
(Hashimoto Takahiro)
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