声優になる!マガジン
2005.02.23  vol. 32
声優になりたい人、業界に興味のある人のためのメールマガジンです。
声優のインタビューと声優に必要なトレーニングや知識をレッスンします。
画像などが表示されない場合
こんにちは。
雷鳥社「声優になる!マガジン」エディターのイタガキです。
「声優さんになりた〜い!」と思っている人たちや、「アニメが大好き☆」という人たちに役立つ情報が満載のメルマガです。
先週・先々週と声優・平松晶子さんにお話をうかがっています。第3週目の今回は、声優として実際仕事をしはじめた頃のお話です。それでは、お楽しみに!!
::: PR ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
声優・俳優養成機関SAG ワンデイレッスン開催中!!
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: PR :::

声優になる!
マガジン

メールアドレスの
登録・解除・変更

私が声優になったワケ
演じることが心の底から楽しい。声優・平松晶子インタビューVol.3
声優に興味を持ち、養成所に入った平松さん。卒業後もプロダクションを紹介してもらうなど、順調に夢に向かって進んでいるようにみえますが・・・。
今週、第3回目では、声優として実際にお仕事を始めた時に立ちはだかった壁とその克服方法、舞台と声優の仕事との心の揺れなどについてお聞きしました。
■ Profile ■
平松晶子(ひらまつあきこ)
8月31日生まれ。東京都出身。賢プロダクション所属。東京アニメーション養成所を経てデビュー。主な出演作は『逮捕しちゃうぞ』(小早川美幸)、『藍より青し』(神楽崎雅)、『ケロロ軍曹』(日向秋)、『ジンキエクステンド』(シバ)、『パルムの樹』(パルム)、『.hack//SIGN』(BT)、『あずまんが大王』(谷崎ゆかり)、『スラムダンク』(赤木晴子)、『みかん絵日記』(草凪吐夢)ほか多数。様々な話題作品にて活躍中。

テレビ朝日
「ジンキ・エクステンド」
シバ役 
毎週水曜日深夜2:12〜放映中






























































テレビ東京系にて
「ケロロ軍曹」
日向秋役
毎週土曜日朝10:00〜放映中。

























































テレビ東京系にて
「マシュマロ通信」
毎週日曜日朝9:30〜放映中。



緊張の連続で楽しくない現場、私は声優に向いていない…
――― 平松さんのデビューの時のお仕事はどうでしたか?

私の最初の出演作はあの「ドラえもん」です。当時はスタジオに見学に行くという制度があって、新人は事務所の先輩と一緒に現場に行き、見学させてもらいながら生徒Aとか生徒B、その他大勢のような出演をさせてもらいます。そうすると、そのうちに声を覚えてもらってちょっとずついい役がいただけるようになり、オーディションにも声が掛かるようになっていくという手順のようなものがあったようです。

最初の仕事が「ドラえもん」でしたので、他のものとは比較にならないレベルの緊張をしましたね。現場そのものも大先輩ばかりでとても厳しいですし。当時大方の収録現場というのはまず“通し見”をして“テスト”をして“ラストテスト”をして“本番”になるのですが、「ドラえもん」の現場はいきなりマイク前に立つのです。それがラストテスト。次はもう本番な訳です。私は初めてマイク前で台本を持ってという状態ですから、そんなことが出来るわけもありません。生まれて初めてアフレコをしたのに次が本番なんですよ。私は名前のある役ではありませんでしたから、顔も画面にアップで映りませんし、口パクすら見つけられませんでした。しかもひと言で終わってしまうので画面自体もすぐ切り替わってしまいます。茫然自失のうちに本番は終わってしまいましたが、周りは大先輩ばかりなので自分から聞くことすらおそれ多い気がして当時は「現場にいるのは、みんなプロ」という意識があたり前に存在していて、手とり足とり、やさしくアドバイスというより、先輩の背中を見て学ぶという時代でしたね。とにかく、膝がガクガクするくらい緊張しました。声も緊張で裏返ったり、上手く出なかったりしてしまいました。

そんなことをくり返して、私は、自分で声優にむいていないと思ってしまったのです。楽しくなかったんですよ。養成所などで演技をするのはとても面白いのに、あの現場の緊張の中では何もできなかった、新人だからと開き直れる強さもなかった、ということですね。

仕事を始めた当初はそういう緊張の連続でした。私にとっては仕事は修行とか試練の場のような感覚でした。仕事の現場でもっと私はできるのにというフラストレーションを舞台で発散させて折り合いをつけていたように思います。

そんな状態でしたから、当然仕事がたくさん入って忙しくなるということもなく、結構長い期間舞台をやっていましたね。ですから、事務所の方に「平松さんは舞台を続ける気なんですか?こんなにNGがあっては仕事を入れられないよ。」と言われてしまいました。それでちょっと考えましたね。
私は本当はどっちをやっていきたいのだろうと。

――― それで、声優と舞台の役者、仕事はどうされたのですか?

それまでにほんとに結構長い期間舞台にたずさわってきましたから、舞台も続けていけば楽しいだけでは当然なくなってきます。

それで迷っていた時期にちょうど所属事務所の賢プロダクションのキャストだけでやるアニメーションの話がありました。とても厳しいスケジュールで1週間に3日、1日に3本ぐらい収録するスケジュール。ですから事務所のキャストしか使いづらいということでもありました。ですが、それをやり終えた時ですね、私の中で声優の仕事に対する気持ちが、前向きに変わったのは。

私はそのアニメで主役をいただけたのですが、それまで舞台で演じることと、声優としてマイク前で演じることがどうしてもイコールにならなかったのです。口パクに合わせなければいけないということは、逆に自分の間で演じることができない。自分の生理がそこについていかないと、口にあてるだけになってしまい口パクに合わせなければと追い詰められて、芝居なんか全然していないという状態になりますし。「私何やっているんだろう?」と虚しい気持ちになっていたりしました。
マイクの前でも“演じる”ことが見えてきた
――― その虚しい気持ちはどうやって克服されたのですか?

そんな気持ちが空回りしていた部分があるまま、この作品で主役を初めてやることになって。悩む時間もないスケジュールの中で主役をやらせていただいたので、常に本番も含めてしゃべり続けるという状態になりました。次の回がどんどん連続して来ますから、どっぷりと反省している時間もない訳です。

ですが、それをこなしているうちに変な緊張がなくなっていき、余分な力が抜けたのかもしれません。それと主役でしたので、たくさんの人と絡んで台詞を喋ることでようやく舞台でやってきた演技と声優としてのマイク前での演技がつながり始めました。その仕事はひと夏かけてやったのですが、終わったときに「もっと声優の仕事したいな」って思えたんですよね。

それまでの私はとても後ろ向きで、あそこに私の居場所はないと思っていたぐらいでしたから。現場に行っても行っても失敗して、そして自分にダメ出しをして落ち込んでという良くない循環をしてしまっていました。本当に仕事に対して1回も自分でできたと思ったことがありませんでした。「なんでできないんだろう?」って毎回毎回思っていましたし、「もう呼んでもらえないかも。もうきっと終わりだ」なんて、ありえないくらい後ろ向きな考えで過ごしていました。

ですから仕事の前日は緊張とストレスで眠れないことがほとんど。寝てないので体調が万全なわけもなく、緊張するだけでも声を出す状況としては良くないのに、寝不足も加わるわけですから悪いことの上乗せのようになっていましたね。

それがこの仕事のあと良い変化が起こり、声優の仕事をもっとしてみたいと思えるようになったのです。

――― 具体的にその後何か変化が起きたのでしょうか?

ええ、不思議なことにそう思えるようになってすぐ「キン肉マン−王位争奪戦−」だったと思いますが、レギュラーが決まったんです。事務所のほうにも舞台より仕事を優先させる旨を伝えました。舞台も当然やりますが、極力NGをなくして声優としての仕事を優先させるように動きました。

――― デビューしてから声優の仕事が楽しく思えるようになるまでどのくらいかかったのでしょうか?

果てしなく長かったですね。何年もかかりました。半年、1年ではありません。デビュー当時「バブルガムクライシス」というOVAに出演していたのですが、そのOVAの収録が1年に2〜3回ありました。当時長く続いていた声優の仕事はほぼそれだけで、後は舞台という感じでした。

数少ない声優の仕事なので、余計に緊張もしましたし3‚4ヶ月前にやった手ごたえを覚えていられなくて、現場に行くたびに0からやり直しという感じでした。繰り返しているのに何にも積み上げていないように思えましたね。ですから、長い間本当に楽しくなかったです。養成所で演技が楽しいと感じていたのが、一変して私は声優に向いてないと何度本気で思ったかしれません。

――― 辛く悩んでいる期間に声優を辞めようとは考えなかったのですか?

「辞めよう」とは思いませんでしたね。「バブルガムクライシス」があったのと、舞台は楽しかったので、現状維持という状態で続けていました。あと、私は負けず嫌いなので、どうやったらスタジオ収録に行ったときの後ろ向きな気分を抜け出せるのだろうと真剣に考えました。多分それができないまま終わるのはとても悔しかったんだと思います。演技が嫌いになったり、人前に出るのが嫌になったとかではなく、声優の仕事という枠だけがどうしても自分にとって越えられないものでしたし。いつか舞台と同じように自由に演じたいという気持ちが続けられた要因だと思っています。
発声、滑舌、テープ録りなど出来る事はすべてやる
――― 自由に演じるため、具体的にされていた訓練方法などはありますか?

舞台をしていましたので肉体的な訓練は日々行いますし、発声などはある一定レベル以上舞台稽古で確実にやっていました。舞台は声優の仕事と違い、マイクを使いませんから劇場の隅のお客さんにも声を届けなければなりません。ですから滑舌も含めて鍛えられました。
声優の仕事のためには、カセットテープに自分の声を録音して聞いていました。

その当時の私自身の問題は、出したい声が出せないということ。カワイイ声というのはこういう声という固定観念にしばられていた私は、3・4ヶ月に1回演じるキャラクターの声が、やるたびに違うような気がするように思ってしまうわけです。今回はこうしようとか、次はこうしてみようとかをその度に試してみるのですが、どこかを立てるとどこかが引かれてしまうような感じで・・・。緊張せず、自分としてはとてもかわいい感じで演じていたつもりでも、出来上がった作品を見てみたら声がこもっていたりということがありましたね。

ですから、このカセットテープは、自分が出そうと思っている声を客観的に聞くということに役立ちました。声に出して台詞を読んでみて、自分の思ったとおり聴こえるかが分かります。

今と違って当時は、収録前に予習用のビデオはいただけませんでしたから、家で画面に合わせて、好きなだけ練習などはできないわけです。放送されてしまったものは、絵も音楽もついてしまっている100%の完成品なわけですからそれに台本をあてたところでやはり違います。ですから出来ることは限られていたと思いますが、自分が思いつく限りはやっていたつもりです。

あとは現場になるべく早く入って、緊張しないように場の空気になじめるようにしたりしていました。早く行きすぎてスタジオが閉まっていることもありました(笑)。

次号に(3/2配信)つづく

演技


声優になるための練習問題
声優ってどんな仕事? どうしたらなれるの? なるにはどんなトレーニングが必要なの? そんな疑問にお応えするべく、毎回少しずつですが声優になるために必要な知識やトレーニング方法を紹介していきます。東京・荻窪にある声優・俳優養成所「松濤アクターズギムナジウム」の監修・協力により刊行されている『はじめての声優トレーニング』『声優になるための練習問題』(雷鳥社)という本をもとに、声優の世界をひもといていきます。

東京・荻窪にある声優・俳優養成所 松濤アクターズギムナジウム









基礎から始める声優トレーニングブック
雷鳥社/1‚575円(税込み)









基礎から始める殺陣・アクション入門
雷鳥社/1‚575円(税込み)
今週も間(ま)の取り方に挑戦!
前回練習したの間の取り方を踏まえて、今回の練習をしましょう。

●次の【1】〜【3】の文は、読点の位置によって意味がことなります。指定した状況を正しく伝えるように読点をつけましょう。

【1】
母は楽しげに遊んでいるわが子を見ていた。
(子どもが楽しそうに遊んでいる)
(母が楽しそうに見ている)

【2】
私は昨日京都からかえってきた友人に会った。
(友人が昨日帰ってきた)
(私と友人は昨日会った)

【3】
正男はゆっくりと歩いてくる老人に話しかけた。
(老人がゆっくり歩いてくる)
(正男がゆっくり話しかけた)


[解説]

【1】
母は、楽しげに遊んでいるわが子を見ていた。
母は楽しげに、遊んでいるわが子を見ていた。

【2】
私は、昨日京都からかえってきた友人に会った。
私は昨日、京都からかえってきた友人に会った。

【3】
正男は、ゆっくりと歩いてくる老人に話しかけた。
正男はゆっくりと、歩いてくる老人に話しかけた。
 
この読点はどこで区切るかが、表現する上で非常に重大なことなのです。何をどのように伝えたいのか、まずは内容をしっかり把握することから始めましょう。

同じ文章でも読点ひとつで意味が変わってきます。日本語のおもしろさも垣間見ることができて楽しいですね!
はじめての声優トレーニング〜声のテクニック編(CD付)
雷鳥社/1‚890円(税込み)





声優になるための練習問題100
雷鳥社/1‚470円(税込み)

::: PR ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
vocal studio Hyper Voice
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: PR :::

編 集 後 記
環境を変える、意識を変えるということが自分で出来る人はそれなりに才能のある人だと思います。多くの場合一番難しい部分だからです。自分で出来ない、もしくは気づくことすらも難しいこの課題は、多くが第三者が気づかせてくれたりするようです。それに応えられる自分であること、そういう人間関係を築けることも大切な実力だと思います。
(Hashimoto Takahiro)
問 い 合 わ せ
雷鳥社マガジン
URL: http://www.raichosha.co.jp/mm/
 広告のお問い合わせ: http://www.raichosha.co.jp/mm/ad.html
ご意見・ご感想: actor@raichosha.co.jp
登録の解除をご希望の方は、下記のURLによりお願いします。
  http://www.raichosha.co.jp/mm/actor.html
「声優になる!マガジン」に掲載された記事の無断転載を禁じます。
Copyright.2004 Raicho-sha