声優になる!マガジン
2005.08.10  vol. 53
声優になりたい人、業界に興味のある人のためのメールマガジンです。
声優のインタビューと声優に必要なトレーニングや知識をレッスンします。
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こんにちは。
雷鳥社「声優になる!マガジン」エディターのイタガキです。
「声優さんになりた〜い!」と思っている人たちや、「アニメが大好き☆」という人たちに役立つ情報が満載のメルマガです。
夏休み、いかがお過ごしですか? 今週も一龍斎貞友さんのインタビューをお届けしてまいります。現場で経験されたこと、講師をされていて感じたこと、声優を目指すみなさんにとって貴重なお話ばかりです。それでは、今週もお楽しみに!!
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私が声優になったワケ
声優・講談師の両輪で、芸と自分を磨いていく。一龍斎貞友インタビューVOl.4
どの世界もそうですが、講談の世界もやはり甘くない芸の道です。ですが、一龍斎さんはその世界を経験することで、声優としてもいろいろ学んだことがあったようです。声優養成所などの講師歴も5・6年というキャリアを持つ一龍斎さんから、今週もいろいろアドバイスをしていただきます。
■ Profile ■
一龍斎貞友(いちりゅうさいていゆう)
6月20日生まれ。大阪府出身。ぷろだくしょんバオバブ所属。声優であり、女性講談師でもある。声優としては『ちびまるこちゃん』お母さん役、小杉役、『クレヨンしんちゃん』マサオくん役、『忍たま乱太郎』しんべヱ役など人気アニメだけでなく、CM、ナレーション、ラジオなど幅広い分野にて多数出演。また一方では、人間国宝の一龍斎貞水に入門。平成16年には女流講談師として真打昇進。現在は声優・講談師の2足のわらじで活躍中。
一龍斎貞友・公式サイト
ぷろだくしょんバオバブ公式サイト






大事なことは“ナチュラル&リアリティ”
――― 講談を学んだことで声優として意識が変わったりされましたか?

変わったところはあると思います。

一つ目は講談の師匠にお前の芸は“引いてしまう芸”だと指摘されたことがあって・・。こう見えて(笑)意外と気が小さいんです。もっと押し出していけといわれ、はっとしましたね。

講談では声の仕事のように声を変えるのがせこいと言われてしまういます。習性でキャラクターで声を変えてしまうんですよね。今では、“持ち味”として活かしなさいとお許しがでていますが・・。

声優では、声を作るのが仕事。でも大事なのは、“ナチュラル&リアリティ”。いかにキャラクターを作っていても自然に聞こえるかということです。

講談を始めてからは、そのシーンの距離感や思いなどを伝えるのに、今まで以上に奥の深い部分を意識するようになりましたね。語られない深い部分を凝縮して台詞として表現したいと思うようになりました。間尺など、いろいろと制約がある中で“いかにリアリティを出すか”ということを師匠から学んだと思います。

講談を始めるときは、周りから反対されました。私は自分自身の目標をたてるときに、近い目標と遠い目標の2つを同時に立てるようにしています。講談は、仕事としてやっていく段階で、前座の修行などがあります。師匠の手伝いなど内弟子としての仕事がありましたから、声優としての仕事はかなり抑えなければなりませんでした。やる以上は、本気で学ばなくてはなりませんからカルチャーショックの連続で、我慢しなければいけなかったこともたくさんありました。

講談をやるようになって、声優の仕事の大切さや好きな気持ちを、今はより意識できるようになりました。思い知らされた感じでしたね。
今、求められているのは即戦力!!
――― 一龍斎さんは講師としても活躍されていますが、声優志望者にはどのようにご指導されているのですか?

養成所などでの講師をさせていただき5、6年になると思います。今は、事務所や現場で育ててもらえるということが少ない状態。求められるのはやはり、即戦力になり得るかということかしら。ですから、私は現場で迷惑をかけない最低限のことをしっかり教えようと思っています。基本的な発声、滑舌、鼻濁音、無声化などはもちろんですが、それと同時に役をどう捉えるのかもしっかりと学んでほしいと思っています。声優としてではなく、それ以前の演技力、表現力をしっかり身につけるのが一番大切ではないでしょうか。

――― 初心者の場合、どのようなことから教えられますか?

はじめは『外朗売り』ですね。『外朗売り』だけでは足りないと思いますが・・・。あとは沢山の本を読んでくださいとお話します。黙読すること、音読すること、並行してやってほしいと思います。

最近は本を読んでいる人が少なくなりました。難しい本でなくていいので活字に慣れてほしいです。話のどこがポイントになるのかを把握できるようになってほしいということもありますよね。また、活字を読むことで、イメージが膨らみます。役作りの際、多くの人はこのキャラクターはこの色と大まかなとらえ方をしがちです。イメージ力があれば、もっともっと色が出せますよね。

皆さんに台本を渡したとき、はじめはほとんどの方がしゃべれません。読んでしまうだけになってしまします。それをいかに“しゃべれる”ようになるかが課題ですね。自分の言葉としていかに伝えられるかはとても重要なポイントになりますよ。

それと自分の欠点と長所をきちんと自覚できるかも大事ですね。その上で欠点をどう克服していくかという傾向と対策を自分で見つけることをしていけたら必ず良くなると思います。「私これが出来ないんです」で終わってしまう人をよく見かけます。ですが、出来ないことをどうしたら出来るようするか、それを自分で考えて行動することが出来るようにすることは必要不可欠ですね。ステップアップするためには大切なことだと思います。

例えそれで失敗してしまったとしても、次失敗しなければいいんです。そのために、いかに具体的に改善していくか。そしてその中で自分の長所をも見つけそれも伸ばしていく。

大変難しいことだと思いますが、それはプロになるために必要な要素の一つだと思います。声優を志す人の多くが自分自身の課題を曖昧にしたまま明確に出来ていないなと感じます。例えば講師として具体的に「Aさんは○○が問題よね」と指摘してあげたとしても、本人がそれほどの問題とは認識してくれないことが多いんですよね。

あとは物事に対する姿勢かな。週1回、限られた時間でも学ぼうとする姿勢はとても尊いことだと思います。ですが、ただレッスンを受けたことで満足してたらいけません。どれだけ自分がその貴重なレッスンで学んで帰るか。先生が言ったこと、仲間の表現をどれだけ自分のものにして帰れるかは自分次第だと思います。

もう一つは、他人のやっていることを見ていない人が、ほんとにたくさんいます。ですから、自分の発表のときだけがレッスンではないとお話ししています。養成所で学んでいる段階では、自分の表現ができる人はまずいません。表現方法を変えてみてと言われて変えられる人もほとんどいません。本人は変えているつもりでも実際はほとんど変っていないのです。ですが、もしクラスに30人いたら30通りの表現があるわけです。その表現を聞いて、講師の人が何と言うのか。どこが良くてどこが悪いのか。チェックポイントはいくらでも探せますよね。もしその意見が自分の意見と同じでなかったとしても、そのことを聴く耳をもてると必ず表現の幅は広がりますよ。

「今の聞いてどうだった?」と尋ねると「よかったです。」「なんかあまりよくなかったです。」しか返ってこないことも多いです。いい悪いではなく、きちんと聴いていれば自分の感想、意見があるはずなのです。アンテナをきちんと立てておかないと大事なことも大事だと思えなくなってしまいますからね。絶対に独りよがりな勉強になったらよくないですから少しでも多くの情報を手に入れて正確に判断できる訓練はし続けないといけないかなとは思いますね。

次号(8/24配信)もお楽しみに!!
<取材協力>
キャス・クルート
TEL:03-5487-3608
東京都目黒区下目黒1-3-4 ベルグリーン目黒 B1
11:30〜14:15(L.O.13:30)
18:00〜22:30(L.O.21:30)
月曜定休

演技


声優になるための練習問題
声優ってどんな仕事? どうしたらなれるの? なるにはどんなトレーニングが必要なの? そんな疑問にお応えするべく、毎回少しずつですが声優になるために必要な知識やトレーニング方法を紹介していきます。東京・荻窪にある声優・俳優養成所「松濤アクターズギムナジウム」の監修・協力により刊行されている『はじめての声優トレーニング』『声優になるための練習問題』(雷鳥社)という本をもとに、声優の世界をひもといていきます。

東京・荻窪にある声優・俳優養成所 松濤アクターズギムナジウム
基礎から始める声優トレーニングブック 雷鳥社/1‚575円(税込み)
基礎から始める殺陣・アクション入門 雷鳥社/1‚575円(税込み)
CMのナレーションを味わってみましょう!

●次のナレーション原稿をそれぞれの商品の雰囲気をつかんで読んでみましょう。

【1】「すっきり茶」(さわやかなイメージで)

 ドクダミの葉で体スッキリ
 ジャスミンの香りで気分もスッキリ
 スッキリしたいあなたへ
 雷鳥園のすっきり茶

【2】「モルト・ビール」(力強く、テンポよく)
 スポーツの後、仕事の後
 充実のときには、この一杯!
 キレがイイ! コクがイイ!
 麦芽100%の生ビール
 雷鳥園 モルト・ビール

[解説]
CMのナレーションは通常次のような過程で収録されます。

[1]スタジオに入ってから原稿を受け取る
[2]原稿に目を通して意図をくみ取り、イメージをつくる
[3]映像と音楽を見聞きしてどのように表現するかを考え、監督からの指示も受けながら表現方法を仕上げていく
[4]収録する

短い言葉だけで視聴者へ確実にインパクトを与えなければならないので、的確な理解力と表現力が要求される高度な仕事なのです。CMの中にはいつも同じ声優が同じ企業や商品のナレーションをしているものもあります。その声が企業や商品の顔になっているほど、重要な位置を占めているのです。

簡単そうに見えてとても奥の深いCMナレーション。何度も練習して一番いいと思えるパターンを見つけてくださいね!
新刊!CD未収録の音声ファイルがダウンロードできます。
朗読ナレーショントレーニング 日本の名作を演じる(CD付)

雷鳥社1‚890円(税込み)

はじめての声優トレーニング〜声のテクニック編(CD付) 雷鳥社/1‚890円(税込み)

声優になるための練習問題100 雷鳥社/1‚470円(税込み)


声優オススメ情報


Profile
高都幸男
'76年、東京大学在学中に野田秀樹らとともに「劇団夢の遊眠社」を結成。以後、全43公演に音楽(選曲)音響デザイナー・演出補として参加。この間、'86年『スプレイ』(演出)、'90年『から騒ぎ』(選曲・効果)など外部公演へも多数参加。'92年劇団解散後フリーとなり、NODA・MAP公演、東宝公演などのサウンドプランを手掛け現在に至る。最新作は'03年『オイル』。


「2DAYS 高都スペシャル!俳優特別ゼミ」へ行こう!!
超人気演劇集団 「NODA ・MAP」のサウンドプラン、演出補の高都幸男(タカツユキオ)が、演技の面白さを伝授!夏のスペシャルレッスン開講!!

“小難しい理論や、理屈っぽい演技論はいらない。演じてる側が楽しくなかったらお客は楽しめない。” 高都氏のレッスンは、とにかくユニーク。 “頭で考える前に体が動く。”
“とっさのリアクションがかっこいい” “観ていて楽しい!” 初心者だからこそ楽しめる!
経験者が上手い役者でなく、いい役者になるためのヒントが盛りだくさん!! 2005年夏、たった1度、2日間だけの素敵な芝居空間を体験してみましょう。初心者でも大丈夫。初心者だからこその初々しい感性で純粋に楽しんでみましょう。演技は決して難しいものじゃない!! あなたという感性の参加で高都先生もきっと喜びます。 さあ、Tシャツとジャージで稽古場に来てみませんか? きっと新しい発見があるはずです!

※応募者多数のため抽選とさせていただきます。 受講確認できるまで入金手続きはしないでください。


スペシャル2Days レッスン
8月24日(水)、25日(木) 両日13:00〜19:00
10‚000円

Tシャツ、ジャージ、運動靴(ダンスシューズでも可)をお持ちください。
場所:松濤アクターズギムナジウム 〒167-0043 杉並区上荻2-4-12
お申込&お問い合わせ:03-5310-3535
<高都先生からのメッセージ>
稽古場は楽しくなくてはいけません。楽しくない稽古場からは面白い演劇は生まれません。稽古場の楽しさとはなんでしょう?“発見”する楽しみです。“発見”の多い稽古場ほどいい稽古場です。

「夢の遊眠社」メNODA・MAPモを通じてほぼ四半世紀にわたって野田秀樹と一緒に芝居を作ってきてわかったことのひとつがそれです。もし30人の役者がいて毎日ひとりひとつずつの“発見”をすれば1ヶ月後には1000の“発見”。なんだかワクワクしてきませんか?もちろん演劇は身体表現ですからその“発見”は主に肉体でするのです。楽しい稽古場になりますように!

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編 集 後 記
先日一龍斎さんの講談を拝見させていただきました。下手な舞台よりはるかに面白い寄席でした。しゃべるという技術は極めるとこれだけのパワーを持つのだと感心させられました。プロになるのは誰でもないその人自身です。いやその人自身のパワーがその人をプロにさせるのかもしれませんね。皆さんはいかがですか?(Hashimoto Takahiro)

<編集部よりお知らせ>
いつもご愛読ありがとうございます。来週は1週お休みをいただきますので、次号は8月24日配信です。今週末からお盆休みの方も多いハズ。みなさん、楽しい時間をお過ごしくださいね。
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