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翻訳目録

言葉の意味はたえず変わっていく。
書き留められるのは、その一瞬にもっていた意味だけだ。

―――言葉はいつまで、もぞもぞ動く?

2020年に日本翻訳大賞を受賞した、精神科医が“私的なノート”に書き溜める、
国や地域、時代をまたぐ味わい深いことばたちを、ひろく紹介する、ちいさな目録。

“名無しの翻訳”、“時代とともに消えた言葉”、“意味の移り変わり”など
私たちの、“くちのききかた”からこぼれた60個の欠片を、
版画家・タダジュンの挿絵とともにしずかに眺める。


【目次】
・ことばでないもの
・ことばをさかのぼる
・ことばのうつりかわり
・ことばがうまれるとき
・ことばがきえていくとき
・ことばをかきとめる
※章末には、著者のエッセイ(全6篇)を収録。


例1:【高高兴兴来上班,平平安安回家去】にこにこ通勤、すいすい帰宅

北京で見かけた交通安全の標語。余裕を持って安全運転で帰りましょう、の類。
お役所スローガンに独特な垢抜けない感じが、たとえ言語が違っていても伝わってくるのが面白い。
ところで形容詞のなかで同じ音韻を重ねるとき、中国語はAABBの形をとり、和語ではABABとなることが普通。「明々白々」なんて日本語はごく例外的で、だからどことなく大陸の香りがする。

例2:【田子の浦ゆ うち出でてみれば 真白にそ 不尽の高嶺に 雪は降りける】
Coming out
    From Tago’s nestled cove
I gaze:
    White, pure white
The snow has fallen
On Fuji’s lofty peak.

万葉集を英訳した、この亜鉛色の髪をした作家と温泉にいったことがある。「田子の浦、入江の浜辺は低く、そこからふと見上げたとき、視界の開けた先、高く、海の色が反転したような雪があって――心の震えたのを、しろ、というだけではきっと足りなくて、文字を二つ、重ねることで……」そんなことを言っていた。家に帰って、彼の訳したものを見ると、White, pure whiteと、やはり二つ言葉を重ねた美しい訳詩になっていた。

例3:【Bowdlerization】改竄

シェイクスピアの原文から卑語猥語を抜き去って出版したThomas Bowdler博士に由来する言葉。一方で「竄」の字は、穴に鼠が入るようにこっそり素早く字句を挿入してしまうこと。どちらも文書の勝手な変更を表すけれども、正反対の意味に由来するのが面白い。
皮肉なことに両方とも、bowdlerizationはいまや古風な言葉として廃れつつあるし、「竄」の字も「ざん」に置き換わって姿を消しそうだ。嘘は長くは続かない、ということ。

【プロフィール】
著:阿部大樹(あべ・だいじゅ)
1990年、新潟県に生まれる。精神科医。松沢病院、川崎市立多摩病院に勤務。
訳書にH.S.サリヴァン『精神病理学私記』(日本評論社、第6回日本翻訳大賞)、R.ベネディクト『レイシズム』(講談社学術文庫)。「サンフランシスコ・オラクル」誌の日本語版翻訳・発行を行う。

絵:タダジュン
版画家・イラストレーター
版画の技法を使い、書籍や雑誌のイラストレーションを中心に活動中。
作品集『Dear,THUMB BOOK PRESS』をSUNNY BOY BOOKSより刊行。

【書誌情報】
予価:2200円(2000円+税)
判型:四六判変形、上製、1C、160P
ISBN:978-4-8441-3773-3
図書コード:C0095
発売日:2020年12月上旬

紋の辞典

辞典シリーズ9作目は、家紋の辞典

ページをめくるたびに密度を増す、「紋曼荼羅®」掲載


江戸時代に多くの種類が生み出され、日本人が慣れ親しんできた家紋。
その図柄はすべて、職人によって正円と直線のみで描かれる。
モチーフの本質だけをとらえた、日本独自のシンプルで美しいデザインの仕組みに迫る。


目次
はじめに/本書の見方/基本の紋+見立て紋/現代の紋/コラム/おわりに/索引/紋の仕組み

・基本紋の対抗ページに作図過程がわかる「紋曼荼羅®(もんまんだら)」掲載
・「現代の紋」には、日本橋の商業施設COREDO室町に掛かる大暖簾の紋掲載
・巻末には、仕組みを表す構成名別に、家紋を逆引きできる裏辞典あり


著者
◆波戸場承龍(はとば・しょうりゅう)
京源三代目 紋章上繪師
着物に家紋を手で描き入れる紋章上繪師としての技術を継承し活躍する一方、家紋の魅力を新しい形で表現したいという想いで、2007年より家紋のアート作品を制作。紋章上繪師ならではの「紋曼荼羅® MON-MANDALA」というオリジナル技法を生み出す。家紋やロゴデザインの域を超えて、森羅万象を描き出す職人兼デザイナーとして、あらゆる分野のデザインに挑戦し続けている。
NHK Eテレ デザインあ「もん」出演/もん制作他

◆波戸場耀次(はとば・ようじ)
紋章上繪師
工房「誂処 京源」の立ち上げを機に、Adobe Illustrator/Photoshop/Premiere Proを使って、家紋とデジタル技術を掛け合わせた多種多様なビジネスモデルを構築。デザインの宝庫である家紋が常に身近にある環境で育ち、8歳から始めた書道で培われたバランス感覚で、シンプルでミニマムなデザインを行う。父 承龍とともに、家紋を知らない世代や海外の方々へ、家紋の魅力を伝えるワークショップや講演などを積極的に行っている。


書誌情報
予価:1650円(1500円+税)
仕様:A6判型/上製/360ページ/1C・2C
ISBN:978-4-8441-3771-9
図書コード:C0072
発売日:2020年12月10日

映画みたいなことしない?

恋人や友だちといっしょに真似したくなるようなワンシーンをあつめた、

ちょっと変わった映画案内

映画で描かれる「愛のやりとり」「悩みと向き合う姿」「不思議な出会い」「仲間と過ごす時間」といったシーンに、あこがれたり、共感したりしたことはありませんか?

映画館での制作・展示経験もある4名のイラストレーターが、
思わず真似したくなるような映画のワンシーンを50作分紹介。

イラストレーションで再現しているから、
シーンを真似する姿が想像しやすい!

イラストレーターが映画をどんなふうに観ているのか、
なにを感じているのかを楽しむエッセイとしても。

もくじ
恋人と/ひとりで/知らない人と/友だちと/コラム


こんな映画のこんなシーン
『女は女である』-本の題名(タイトル)を使って会話する。
『恋愛睡眠のすすめ』-空想の世界を撮影するために、セロファンを使って川や船を作る。
『ドアをノックするのは誰?』-好きなものについて一方的に相手に語る。
『(ハル)』-インターネットでやりとりする男女の、新幹線車窓越しの出会い。
『ヴァージン・スーサイズ』/『17歳のカルテ』-日記を書くことで救われる。
『マルメロの陽光』-毎年、同じ季節にマルメロの木を描きつづける。
『メルシー・ラ・ヴィ』-ウエディングドレス姿で逃亡。
『さらば冬のかもめ』-冬の公園でバーベキュー。
『青春群像』-友だちたちと海辺でだらだらする。など全50作

著者:エヒラナナエ(えひら・ななえ)
   大沢かずみ(おおさわ・かずみ)
   カナイフユキ(かない・ふゆき)
   田辺俊輔(たなべ・しゅんすけ)

コラム:九龍ジョー
    月永理絵


書誌情報
予価:1980円(1800円+税)
仕様:B6判(H182×W128)/コデックス装/128ページ/オールカラー/右とじ
ISBN:978-4-8441-3772-6 C0074
発売日:2020年12月4日

浜通り 2000-2003 福島

前作「奥会津」に続き、福島の風景を撮り続けてきた、写真家須賀武継氏二作目の写真集


浜通りは、福島県東部太平洋側の呼称。2011年の東日本大震災の津波と原発事故で、この土地は大きく変わってしまった。
本書には、震災10年前の2001~2003年の浜通りの豊かな自然や、当たり前にあった日常の様子が季節ごとにまとめられている。
「昔の風景を見たい」という多くの方々の御支援により、一冊の本にまとめられた。


著者:須賀武継(すが・たけつぐ)

書誌情報
予価:¥3850(本体¥3500+税)
判型:A4判、上製、128p
ISBN:978-4-8441-3768-9
発売日:2021年1月