朗読ライブVOICE-1 特集インタビュー
声優・俳優の登竜門とも言える朗読。
その朗読がここに生まれ変わる!
Hyper Voice Presents 朗読ライブ「VOICE-1」
第2回 グランプリ受賞 インタビュー
保田 真奈(やすだ まな)さん
初出場にしてグランプリを受賞した保田真奈さん…
オリジナル作品で挑んだ「VIOICE-1 Vol.2」では、彼女の飾らない声、どこか寂しさを漂わせる作品世界が、観客を魅了した。保田さんの生み出す作品の原点は何なのか。朗読への熱き思いを語ってもらった。
来てよかったと思ってくれる方がいる、それが嬉しかった
----グランプリ受賞おめでとうございます。受賞が決まったときは、どんなお気持ちでしたか。
まるでマンガのように言葉が出ませんでした(笑)。まさに頭が真っ白! という感じでしたね。今回は、一般投票で受賞が決まるということでしたので、来てくれたお客さんの中に、今日来てよかったって言ってくれる方がいらっしゃったことがとても嬉しかったです。私が、あの場で、オリジナルの作品を読んだことに意味があったのかなあとじわじわと沸いてきました。
----受賞後はいかがでしたか?
今回は自分のオリジナル作品でしたので、“私にしかできないことができた”というか、“受け入れてくださる方がいる”という充実感があふれてきました。こんな気持ちに気づけたことが、私のこれからのステップアップにつながったと思います。
----予選、決勝ともオリジナル作品でしたが、本番へ向けてはどんな準備をされましたか。
まず考えたのは、朗読としてチカラをもつ作品には、その内容自体にもパワーを発揮するものが必要だと思いました。あとは、言葉ひとつひとつに対する私の持つイメージをどうやってみなさんに伝えたらいいか、どうしたら聞いている方に想像してもらいやすいかを考えましたね。
ですから、できるだけ分かりやすい言葉を選び作品を練りました。原稿が完成したら後は朗読なのですが、ちゃんと声に出して読んだのは、実は本番前日なんですよ。何度も読んで、作りこみ過ぎて、ウソっぽくなるのが嫌だったんです。“上手く読むこと”が今回のイベントで、私が表現したいことではなかったんです。
本番では、今まで生きてきた中で一番というくらいにとても緊張しました。でも、そんな時も感情にまかせて読むと、作品に入り込み過ぎて泣いてしまいそうだったので、泣くなよって自分に言い聞かせていました。実は朗読中に持っていた原稿の隅にも「泣くな!」ってメモまでしていましたし(笑)。とにかく、自分のもつ作品のイメージを、観客のみなさんに丁寧に伝えたいと思って朗読しました。
作品作りは頭の中の旅。ギリギリまで書かないんです
----実際の作品創作はどのようにされていますか?
自分の中に引っかかった言葉やシーンが、ぼんやりと頭の中に残っていて・・・頭の中でいろいろな引き出しみたいなのに入っている感じですね。イメージについては、あまり書き留めたりはしません。ギリギリまで書かないんです。ずっと頭の中の旅ですね。そして書くときは一気に書きます。線の入っていない真っ白な紙がいいですね。ですから、あまりテーマを決めてから書くということはありませんね。
ただ、“自分との葛藤”や“ジレンマ”のようなものは、今後は作ってみたいと思っています。「自分はこうなりたいのになれない」とか、「こうしてあげたいのにできない」とか、誰しもあることだと思うんですよね。一番身近で誰しも共有できることだし、これを乗り越えて人は成長すると思います。そういう部分にチカラを感じますね。そして、そういうことなら表現できると思ってます。
忘れてたものを、いま、取り戻そうと思っているのかもしれない
----ところで、保田さんの作品作りの原点とは?
小学校の時に、お話を作る授業があったんですが、すごく好きでしたね。その時、クラスで流行っていたのが工藤直子さんの「のはらうた」などの作品です。野原の誰かが主人公で、カマキリやカタツムリやミノムシなんかが出てくるんです。詩やお話を書きはじめたのは、その真似っこをしたことから始まりました・・・。
とにかく本を読むのが大好きでしたし、特に絵本の影響は大きいです。あまんきみこさんや、てるむらてるおさんも好きでしたね。いまでも覚えている作品は、いっぱいあります。子供心に思ったのは、子供だけしか持っていない言葉を、大人の作家さんが書いているということでした。ずっと不思議だなと思っていましたね。そこに惹かれたのかもしれません。小学校の通知表には、「お昼休みには図書室ばかりにいないで、お友達とお外で遊びましょう。」って書かれてました(笑)。でも、それなりにちゃんと友達もいたと思うんでけどね。
----保田さんにとって、書くことは、何を意味するのでしょうか。
今回の作品もそうですが、改めて書いているものをみてみると、忘れてたものを取り戻そうと思っているのかもしれないですね。
最近、子供ってすごいなって思うんです。ついこの間、小さな男の子が、駅のスロープの手すりを触って、行ったり来たりしてはしゃいで喜んでいる子を見たんです・・・。大人にとってはその行ったり来たりの行動はまったく意味のない行動に見えても、その子は、きっと面白いって発見したんでしょうね。だからとても喜んでいるんです。でも、子供のそういうところって、すごいですよね。公園に行けば、ジャングルジムが宇宙船になる。ママゴトならお友達がお父さんになれちゃうし、お洒落をすればお姫様にもなっちゃう。そしてすべり台がタイムトンネルにもなる。それって大人にはできないことです。
----2月からは雷鳥社での作品の販売。そして、次回「VOICE-1 Vol.3」では、王者防衛をかけて決勝から参戦されますが、今の心境はいかがでしょうか。
私の作品は、朗読に興味がある人も、そうでない人にも聴いてほしいですが、「私の方が出来るよ」って人がいてくれたらいいですね(笑)。そう思ってくれたら、その人にとってもいいことだと思いますし、朗読という世界の活性化にもなりますよね。
話がそれてしまいますが、学生時代にカナダへ留学したとき、インプロビゼーション(即興演劇)を学びました。小さな劇場があって、そこでインプロを学びたい人が沢山集まって来るんです。でも、チケットはなんと、200円。私は、演劇が街の日常に溶け込んでいることに驚きました。さらに、その劇場には、素人の即興演劇でも見に来る人がいるんです。子供向けのインプロもありましたが、どこも沢山の人で客席は埋まっていました。素晴らしいことですよね。即興演劇を楽しむために人が集まるなんて・・・。
ですから、定期的に開催されている朗読ライブ「VOICE-1」も、やりたいって人が増えるよりも、それを聴きたいって人が増えていくと面白くなるだろうなって思いますね。次回作については・・・まだ書き始めてません。でも、今は二作品のうちで悩んでます(笑)。
インタビューを終えて・・・
好きな言葉が『木の芽が伸びるのは、やわらかいから』(あいだみつを)という保田さんらしく、すべての質問に、まっすぐに答えてくれる彼女でした。2月24日(日)に開催される「VOICE-1 Vol.3」への作品については、思案中だということ。最後の質問が今回のインタビューで、唯一彼女の隠しごとになった。出会った周りの人に興味を湧かせる彼女の存在感は、木の芽のようにどこまでも大きく、沢山の人を魅了してゆくように思われた。ありのままの素直な少女の顔と、赤裸々に語る大人の顔。彼女と話していると心の奥深さに驚かされる。次回作にも期待しつつ、まずは彼女のグランプリ受賞作品を改めて聴いてみようと思う。(山中)
保田真奈さんの予選作品(無料)グランプリ作品が聴けるのは、雷鳥社オーディオ文庫です。
次回の朗読ライブ「VOICE-1 Vol.3」の チケット予約はOMEGA TOKYOまで。
朗読ライブ「VOICE-1 Vol.3」への出場希望の方はHyper Voice HPまで。